新しいシステムだけにまだまだいろいろな問題は出てくるでしょうけれど、ドイツの介護保険のあれこれを注視しながら日本は日本独自の介護保険の導入実施の当日へ向けての準備を進めていくべきだと思います。介護サービスはいずれ世界一のレベルに⑨日本の福祉システムの強味は、それにかかわる人たち、福祉専門職の質の高さです。とりわげ介護福祉士という資格制度が約十年前からスタートできたからこそ、世界でもこれからという段階の公的介護保険の創設に向けていち早く着手し、十年間にわたって公的にも議論に議論を重ねてこられたのです。いくら一部の有識者があれこれと言い合っても肝心の実務をつかさどる方々に不安があっては新しい制度の議論もまさしく不毛の論議になってしまいかねません。それにしても、なぜいつの間にマンパワ!の質がハイレベルに達したのかというと、まず一つは前述したように、寮母さんやホ1ムヘルパーさんたちの長い経験の蓄積にあると思います。もう一つは少し逆説的ですが、福祉サービスが医療サービス行為のなかに完全には取りこまれていなかったことが幸いしたのです。もし福祉が医療のなかに含まれていたとしたら、医療サイド、医師の側がリードするかたちになります。医師からみると介護の仕事は看護と同様に診療の補助行為や療養上の世話ということになってしまうので、ケアサービスにおいては看護婦さんがどうしても中心にならざるを得ないのです。世界の先進国といわれる特にヨーロッパの国々はほとんどがこのパターンといってもいいと思います。フランスもそうですし、北欧のスウェーデン、デンマークなどもそうです。ナイチンゲールの母国イギリスもそうです。これらの国では本格的な介護専門職の方ががなかなか育ってこないし、ましてケアワークの資格制度なども整備されてこない。ホームヘルパlやボランティアの人たちにしても、わからないことは看護婦さんなどの指示をあおげばいいことになるから、いまひとつ向上心というものが停滞してしまいます。もちろん、こうした状況でも現にスウェーデンなどは世界に冠たる福祉国家であるのはたしかですが、スウェーデンにしても直面している壁というか、限界があって、それをつき崩していくには、なまなかの苦労ではだめなところまで来ています。福祉先進国といわれる国々で、福祉サービス従事者の介護レベルが専門化しない理由は、医療と福祉という二つのボタンの掛砂違いにあり、それが問題の根になっていると思います。具体的にいうと、看護と介護、つまり医療と福祉の二つのボタンです。