彼女は一九八四年の大統領選挙には、アメリカ史上最初の女性副大統領候補になった民主党の進歩派、ジュラルディン・フェラロ女史(レーガン大統領が強者の味方とすれば、弱者の味方。女や少数民族の権利や生活に目を向ける政治家)を応援し地域の事務所でヴォランティアとして大活躍していたが、夫は大のレーガンびいき。問題はそのこと自体というより、その選択に示された価値観にあり、一例を挙げれば彼女は大の差別反対論者、彼は差別容認派で、というと頭の中の問題のように聞こえるかもしれないけれども子供のしつけ一つにしてもまったく違ってくる。すべての判断に共通点がなく、話合いもぜんぜん噛み合わず、これでは一緒にいる意味がないと別れたのだった。こうすれば面白い会話ができるコミュニケーションのいいカップルは、相手が与えてくれることにばかり期待せず、小さな会話でも楽しく組み立ててゆく努力をしている。そのコツの一つは、相手に対する関心と、物事に対する好奇心だと思う。話が面白く、人気のある人を注意深く観察していればわかることだが、彼ら彼女たちの多くは、好奇心が強く、質問がうまい。一方話がちっとも面白くない人たちは、本人はそう思っていなくても客観的に見ると物事に対する関心が薄く、狭い決まった世界にだけ、どっぷりつかっている。そのためいつも同じ話題しかない。加えてそうした人たちは、見たり聞いたりしたことをそのままうのみにする傾向があり、偏見を持ちやすい。できるだけ広く外の世界に目を向け、いつもいつも、なぜ?なぜ?どうして?と三歳児のように知ることに貧欲になろう。そうしていれば調べたり、勉強したりもでき、偏見にとらわれず、人間的にも成長することができる。たとえば、アメリカの犯罪が多いことについて、事情を知らない日本人は、黒人が悪いからだと簡単に決めつける。実際黒人街は他の地域と比べ犯罪は多いのだが、なぜ多いのか、どうしてそんなことになったのかとの疑問をちょっとでも持つことができれば、悪いのは彼らではなく、富者はますます富み、貧者はますます貧しくなるような政策と、著しい差別に問題があることがわかるはずだ。二人の間柄にしても、相手のしている事や仕事仲間、製品や政策に興味を持ち、質問していけば、相手の立場や職場環境、したいこと、しなくてはいけないこと等々もわかり話が噛み合う。そのためには、日頃から社会性を持つ努力が必要だ。さもないと、ゴシップには反応できても知的な話には対応できない。