保険料は労使折半で、基盤整備を別にすると運営費に公費は一円も出ていない。税制上の配慮があるので、それを間接公費としてとらえることはできますが、直接には一円も出していないのです。日本は国民皆保険(昭和三十六年)によって被用者保険の他に、国民健康保険ができて、ドイツとおなじように医療保険制度が国のすみずみまで浸透しており、社会保険が社会保障の中枢をなしていて、社会保険に国民の抵抗がまったくないということでもよく似ています。ドイツが介護保険をスタートさせる三カ月前から保険料の徴集を開始した際、医療保険の機構をうまく利用したように、日本も公的介護保険では同様に社会保険のシステムを使う方策をとることになっています。それが国民にとっても一番抵抗なく受げ入れられる手段だと思います。ちなみにドイツの介護保険は各自が収める保険料がスタート当初は月収の一パーセント(会社勤務者は労使折半)で一九九六年七月からは一・七パーセント(同)。介護認定は三段階方式をとっています。一級は軽度の要介護で給付は現金で月額四00マルク(約四万円)か、七五マルク(約七万五OOO円)相当のサービス提供。二級が重度の要介護で月額八00マルク(約八万円)の現金か、月一八00マルク(一八万円)相当のサービス提供。三級は最重度の要介護で現金一三00マルク(一三万円)か、二八00マルク(二八万円)相当のサービス提供を受げる。このほか例外的に特に苛酷な重介護の人の場合は三級対象者の三パーセント以内に限定して月額三七五0マルク(三七万円)相当のサービスを認めることになっています。ドイツと日本のもう一つの共通点は福祉サービスの担い手には専門職が必要と考えて、老人介護士という国家資格制度を導入していることです。この点はすでに述べたのでここでは触れませんが、介護保険の導入によって在宅ケアをより充実したものにしようとするなら、福祉従事者の専門性を高めることは絶対に避げでは通れない問題といえます。いずれにしても、世界的な高齢社会化現象というものを前にして各国とも介護保険で先行するドイツや日本に注目したり検討したりしていますが、この制度の実施をもくろむには、やはり社会保険制度のまんべんない普及と市町村レベルでの自主性のある行政能力、そして介護サービスにあたる方の専門的な知見と見識と経験が欠かせないのです。幸いにもというか、先に介護保険を導入したドイツの一部始終を日本は他山の石としてよく見ることのできる位置にいるわけです。